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歳末にふり返る [音楽]

 寒波の影響なのか、光回線が切れ、23日からネットと固定電話が繋がらなくなりました。修理を頼もうとNTTにケータイで電話しましたが、AI音声で誘導されたあげく、ショート・メールで「最短で 28日」と一方的に送ってきました。なんとも味気ない対応です。



 久しぶりに5日間、ネットのない生活をおくりました。本を読んだり音楽を聴いたりして時間をつぶすのですが、何か物足りない気持ちがします。いつのまにかネットに依存しているのでしょう。



 やっと今日はNTTの人が来てくれました。「すぐ直りますよ」と言うことだったのですが、どこが原因か分からず、結局、電柱の光回線を張り替えたそうです。年末には何故か電気製品とか水回りとかが故障して、あわてることが多い気がします。



 ネットが繋がりホットしましたが、年も押し迫り、今年1年のことを振り返る気分になります。またひとつ年をとったことだけは確かです。去年に比べ目や耳はあきらかに衰えています。



評論家の川本三郎は < 年を取って唯一いいことは思い出が増えることだろうか。>* と書いていました。そういえば事あるごとに、いろんな思い出が蘇って、しばし物思いにとらわれます。もちろん一方では日々、記憶は失われてもいるのですが・・・。



 同書の中で川本三郎は、木下忠司という作曲家のことを書いていました。その人は映画監督の木下惠介の弟で、木下映画のほとんどの音楽をてがけたそうです。『喜びも悲しみも幾歳月』(1957)の主題歌も彼の作曲です。彼は膨大な数の映画やテレビ・ドラマの音楽に関わっています。



 そういえば数年まえ御前崎へ行ったおり、灯台の下に、『喜びも悲しみも・・』の主題歌の歌詞碑があり、小学生のころ母親に連れられて、隣村の映画館で観たのを思い出しました。何ヶ所かの灯台を転勤してゆく灯台守の苦難の話だったのを憶えていましたが、御前崎灯台も舞台になっていたことは知りませんでした。


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 木下惠介監督の『二十四の瞳』(1954)は小学生の物語なので、「仰げば尊し」とか唱歌や童謡がたくさん使われたそうです。家が貧しく、小学校を辞め、働きに出る女児を思って大石先生(高峰秀子)が涙ぐむ場面に、流れていたのは「星の界(よ)」という唱歌でした。 ♪ 月なきみ空に きらめく光 ♪




 「星の界」は明治時代に作られたのですが、元歌があって、讃美歌第312番のメロディーを使っています。唱歌にはそんなのが多いそうです。



 『二十四の瞳』を外国で上映した際には、著作権の問題があるので、一部の音楽を別のものに差し替えたそうです。



 川本三郎はわたしより4歳年上で、東京生まれなので、田舎育ちのわたしとは思い出の内容が異なりますが、彼の本は知らなかった事、気づかなかった事を教えてくれます。



*川本三郎『映画を見ればわかること 2』(キネマ旬報社)

#「駿河のくに巡り」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2019-07-08

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