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初詣はどこへ [読書]

 正月になると、初詣に行こうかという気持ちになります。家の近くには紀三井寺とか、玉津島神社などがありますが、ドライブがてら南紀の熊野本宮大社へ詣でようかとも思います。また気分を変えて、東へ行けば、吉野山・蔵王堂というのもあります。



 そういえば、「蔵王」って何のことなんだろう? 白洲正子の本*を見ると、こんなことが書かれていました。 < 蔵王権現は、役行者が、吉野の金峰山で感得した神とも仏ともつかなぬ独特の存在で、早くいえば不動明王と山の神が合体したような感じをうけるが、その時、外来の仏教は、はじめて日本の地に根をおろしたといえるであろう。役行者は一介(いっかい)の呪術者にすぎず、蔵王権現も正統派の仏ではないが、その功績は大きいと私などは思っている。 >





 これを読むと、蔵王権現というのは、役小角が個人的に感得したものなのだそうです。ちなみに「権現」というのは、「権」は「仮」という意味で、「仮の姿で現れた」ということで、仏や菩薩が日本の神の姿で現れたということなのだそうです。本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)という考え方です。

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(吉野山・蔵王堂)

 役小角(えんのおづぬ)は7世紀、飛鳥時代の伝説的な行者で、修験道を開いた人です。山折哲雄『仏教民俗学』(講談社学術文庫)では、< 修験道というのは、一口にいって古くからの山岳信仰が陰陽道(おんみようどう)や密教や神道と結びつき、その影響下に形成された日本独自の山の宗教である。> と説明していました。




 明治政府の廃仏毀釈まで、日本では神仏習合で、神も仏も大きな違いは無かったのかも知れません。東北地方の蔵王も山岳信仰の山なのでしょう。いずれにしろ人混みが減ってから、どこかへ出かけてみようと思います。


   みちのくの蔵王山なみにゐる雲の

        ひねもす動き春たつらしも (斎藤茂吉)



*白洲正子『行雲抄』(世界文化社)


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