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麦わら帽子の夏 [雑感]


 猛暑が続いています。朝から室温が28℃もあり、雨戸を開けると蝉の大合唱です。熱中症が身近に感じられ、脱水がないか、つい皮膚をつまんでみます。子供のころ、夏には麦わら帽子を被り、虫取網を持って蝉取りをしたり、午後には家から海水パンツひとつで海水浴に出かけたりしましたが、今ほど暑くはなかったように思います。



 先日、作家の森村誠一さんが亡くなられましたが、わたしは読んだことがないのですが、昔、「人間の証明」という小説の映画化のテレビ宣伝に、西條八十の「ぼくの帽子」*という詩が使われていたのを思い出しました。


   ー 母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね?

   ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、

   谿底へ落としたあの麦稈帽子ですよ。

               (後略)


 「麦稈」というのは麦わらを真田紐のように編んだもので、麦わら帽子の材料なのだそうです。喪失したものへの愛惜、それには母への追慕がひそんでいるとも感じられ、いっとき感傷にとらわれます。



 1976年から始まった角川映画の第2作でしたが、「読んでから見るか、見てから読むか」など宣伝がキャッチーでした。この西條八十の詩句も多くの人の耳底に残っていることでしょう。



 今年は暑くて長い夏になりそうです。このままでは甲子園球児も消耗することでしょう。観客も麦わら帽子をかぶる程度で観戦できる天候であってほしいものです。


#「ちょっとした本」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2015-03-13


*題および詩句は初出雑誌、詩集、全集によって異同があるようです。(追記)

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middrinn

拝読して当該映画の有名なコピーを小林信彦『現代〈死語〉ノートⅡ 1977~1999』
(岩波新書,2000)が誤記していることに気付きました(^_^;) 「読んでから見るか、
見てから読むか」(「見」は「観」とすべきだと愚考)は、永遠の課題かと(^_^;)
by middrinn (2023-08-02 16:06) 

爛漫亭

 middrinnさん、記憶に残るCMとかキャッチ・コピーが
ありますね。あの頃では坊屋三郎の「クイントリックス」
も印象的でした。
by 爛漫亭 (2023-08-02 17:41) 

そらへい

森村誠一さんの推理小説は1.2冊読んだ記憶がありますが
「人間の証明」は読んでいないですね。
映画も見ていないと思うのですが
ー 母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね?
を覚えているのは映画のコマーシャルのせいだと思います。
YouTubeで映画の顔ぶれを見るともの凄い役者揃いですね。
角川が力を入れていたのが分かりますね。
by そらへい (2023-08-02 20:19) 

爛漫亭

 そらへいさん、小説や映画の内容よりキャッチ・コピーの
印象が強いというのは、宣伝のすごさですね。当時、角川春樹は
エネルギーがありましたね。わたしは「蒲田行進曲」が好感が
持てました。
by 爛漫亭 (2023-08-02 21:11) 

tai-yama

霧積高原って、今やあまり人が行かないところかも・・・・
碓氷からだと結構距離ありますね。
by tai-yama (2023-08-02 23:46) 

yoko-minato

詩…心に深く入り込んでいますね。
「人間の照明」も詠んだような記憶があります。
でも最後までは読まなかった?
今甲子園での高校野球の在り方が取りざたされていますね。
ドームにと言う意見と甲子園でないと意味が無いと。
生徒たちの健康を第一に考えて欲しいです。
by yoko-minato (2023-08-03 06:06) 

爛漫亭

 tai-yamaさん、あのコマーシャルで霧積が有名に
なりましたね。わたしも昔、ドライブをしていて
霧積という標識を見て心が動いたことがありました。
by 爛漫亭 (2023-08-03 08:22) 

爛漫亭

 yoko-minatoさん、コマーシャルも時代の標識ですね。
あの時、あんな言葉が流れていた、と思い出します。
「麦わら帽子」は、もう46年も前のことですね。
 甲子園もいずれドームにしないといけないかも。
by 爛漫亭 (2023-08-03 08:37) 

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