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小説の楽しみ [読書]

 自分より年下のひとの小説は、何となく読む気がしないのですが、新書棚を眺めていると佐藤正午『小説の読み書き』(岩波新書)というのが目に止まって、つい買ってしまいました。

著者は 1955年生まれの小説家ですが、このひとの小説は読んだことはありません。


 <原則、僕が若い頃に(十代から二十代なかばまでの、まだ自分で小説を書き出す前に)好きで読んだ小説家の小説を、いま中年の小説家の目で読み返してみて何か書く>・・という本です。


 たとえば井伏鱒二『山椒魚』について、


 <一九二三年に中学生だった太宰治が、同人雑誌に発表された井伏鱒二の『山椒魚』を読んで「坐っておられなかったくらいに興奮した」という有名な話がある。(中略)僕は何とも言えないブルーな気分になった。一九七〇年頃に中学生だった僕は、国語の教科書に載っていた『山椒魚』を読んで、どちらかといえば「すわっていられないくらいに退屈した」ような記憶があったからである。>


 そこから出発して、『山椒魚』という小説の、変な書き方を列記していく。身振りの大げささや、変な言葉づかい、そして


 <不思議なことに『山椒魚』の作家は小説をうまく書こうとはしていない。> <素直なボールでは届かない、曲げなければ、ねじ曲がるくらいにカーブさせなければ小説は小説として読者に届けられないと信じて書いている。> <まっすぐなものを曲げる。それは方法である以前に、作者のそうしようという強い意志である。>


 こんな調子で『雪国』、『暗夜行路』、『こころ』、『青べか物語』、『夏の闇』など 25篇を取り上げて、小説家らしい読書感想文を書いています。目のつけどころがおもしろく、作家の特徴があぶり出されてきます。


 では、佐藤正午の小説を読んでみるか・・・とは、今のところ、まだ思ってはいませんが・・・。

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コメント 2

middrinn

著者の小説はともかく、その岩波新書は読んでみたくなりますね(〃'∇'〃)
同書で取り上げられている作品を併読したら、面白そうですものね(⌒~⌒)
by middrinn (2019-02-13 19:37) 

爛漫亭

 「眼光紙背に徹す」という言葉を思い出しました。
思いがけない指摘に、ウム・・となります。
by 爛漫亭 (2019-02-13 23:40) 

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