千年まえのコラムニスト [読書]
文庫本は字が小さいので、とても読めません。岩波文庫にワイド版というのがあるので、ときどき出かけた折に、書店の棚を探してみます。それで『枕草子』でも読んでみようかと、池田亀鑑校訂というのを買ってみたのですが、なかなか読み進めません。いちいち古語辞典を引くのは視力的にも無理です。
なにか適当な訳本はないかと思っていたのですが、以前、橋本治訳が話題になったのを思い出したり、岩波現代文庫に大庭みな子訳があることも知っていたのですが、そのままになっていました。
そんな時、酒井順子訳というのを見つけて、手に取るはめになりました。ときどき岩波文庫ワイド版と見比べながら、読んでいますが、スイスイとページがすすみます。現代でいえば、雑誌のコラム集のようなもので、辛辣な感想があったり、帝や中宮の日常生活の描写があったり、元夫が出てきたり、清少納言という女性の生き生きとした感情が横溢しています。「好き」と「嫌い」で世界を二分してしまうのは、痛快です。
まだ半分残っていますが、読むのが楽しみになります。本当にこんなことを書いているのかと、原文をみると、ほぼ逐語訳に近いもののようです。帝がネコをふところに入れていたり、物乞いのおどけたようすなど、千年まえの日常が生々しく語られています。
女性はいつの時代も元気なんだなぁと、微笑ましくも愉快になります。
面白そうですね(^^) すずきゆたか『絶版文庫の漁誌学』(青弓社,1988)で
知ったのですが、岩波文庫の池田亀鑑校訂『枕草子』、昭和37年より前の版は、
同じ池田亀鑑校訂ですけど、実はソレは北村季吟『枕草子春曙抄』の翻刻本で、
表紙等には、そのことを記してなかった由^_^; それはそれで貴重ですが^_^;
by middrinn (2018-07-02 20:04)
現代語訳で読むというのも、新鮮な体験です。『源氏物語』は谷崎訳も寂聴訳も積んだままです。英訳本の和訳が読みやすいのかもしれませんね。『平家物語』は音読すればそのまま頭に入りました。どんどんいろんな訳が出るのは楽しみです。
by 爛漫亭 (2018-07-02 21:27)