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ユーラシア漂泊 [雑感]

 やっと春めいてきて、新型コロナウイルスも感染者数が減少しつつあるようです。少し気分が安らぎます。一方、ウクライナでは風雲急を告げています。


 ウクライナで思い出すのは横綱・大鵬のことです。大鵬は1940年、樺太でウクライナのコサックの三男として生まれています。日本の敗戦によって、大鵬は日本人の母親と共に北海道へ引き揚げて来ました。父親はソ連軍に収容されたようです。


 わたしの子供時代(1960年代)、「巨人・大鵬・卵焼き」と揶揄されたように、大鵬は人気が高く、優勝32回と実力も抜きん出ていました。


 コサックといえば「ステンカ・ラージン」というロシア民謡にも唄われるように、ロシアとの関係は長年にわたって流動的だったようです。日露戦争では日本人はコサック騎兵隊に苦しめられています。ロシア革命ではコサックは皇帝側の白軍としてボリシェヴィキの赤軍と戦い、破れて弾圧・流刑されています。


 司馬遼太郎は『ロシアについて』(文藝春秋)で <コザックについては、/「ロシア人の顔をしたタタール人」/という印象が、かって存在した。(中略)しかしコザックを種族と見るのは力点の置きちがえで、かれらは歴としたロシア人ながらもロシア人一般とは文化を異にする漂泊(定住している者もいた)の辺境居住集団と見るほうがいい。辺境にいるためタタール(トルコ人やモンゴル人)とは多少の混血があったかもしれないが、(後略)> と書いています。


 ユーラシア大陸の西方からやってきたコサックの血が、相撲の力士として開花しました。そして最近、幕内に上がって来た王鵬(大鵬の孫)へと繋がっています。ウクライナの変転によって、いろんな人の人生が移り変わっています。


#「ロシアとの関わり」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2016-12-14


ロシアについて 北方の原形 (文春文庫)

ロシアについて 北方の原形 (文春文庫)

  • 作者: 司馬遼太郎
  • 出版社: 文藝春秋


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コメント 6

そらへい

戦争のニュースは胸が塞ぎますね。
大鵬がロシア系だとは知っていましたが
ウクライナとは知りませんでした。
ヨーロッパとロシアの境にあるウクライナ
歴史的にもいろいろと受難があるのでしょうね。
by そらへい (2022-03-01 19:45) 

爛漫亭

 そらへいさん、大国の周辺国は常に軋轢や
侵略にさらされていますね。それにしても
いつまでも政治的に野蛮な国ですね。
by 爛漫亭 (2022-03-01 20:36) 

tai-yama

プーチンもコサック騎兵隊の血がながれてるウクライナに
苦戦していると言う・・・。速攻負けると思われたのに
ウクライナの勇敢さに世界が一致して助ける展開に!
by tai-yama (2022-03-01 23:03) 

爛漫亭

 そうですねtai-yamaさん、兄弟国間での戦いはお互い
やりにくいでしょうね。国内の反戦の高まりで解決すれば
いいのですがね。

by 爛漫亭 (2022-03-02 08:55) 

yoko-minato

大鵬・・・魅力的なお相撲さんでしたね。
子ども心にも強くてかっこいいな~と。
そうだったのですね。
ウクライナ出身でしたか!!
お孫さんに当たる力士…応援したいですね。
by yoko-minato (2022-03-02 11:02) 

爛漫亭

 yoko-minatoさん、大鵬は色白で顔が整い、わたしの祖母も
ファンでした。それぞれの力士にいろんな物語がありますね。
by 爛漫亭 (2022-03-02 11:31) 

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