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『深夜特急』の楽屋話 [読書]

 本棚を整理していると、沢木耕太郎『旅する力 深夜特急ノート』(新潮社)という本が出てきました。2008年に刊行されていますが、未読のようです。読みだしてみると、『深夜特急』の楽屋話のようです。


 『深夜特急』を読んだのはもう 30年も前だと思いますが、第1、2卷が出版されたあと、第3卷が出るのが待ちどうしかった記憶があります。


 デリーからロンドンへ乗合バスで行く途中、沢木耕太郎は 3回迷ったそうです。1回はテヘランで、アラビア半島へ向かうかどうか。26歳の彼には映画『アラビアのロレンス』とポール・ニザン『アデン アラビア』の感化があったそうです。


 2回目はマルセイユで、アルジェリアへ渡ろうか、どうしようか。彼は経済学部出身ですが、卒業論文はカミュについてだったそうです。オランの海が見てみたい。


 3回目はスペインからモロッコへ、マラケシュへ行ってみたいが・・・。旅行で出会うヒッピーは誰もが行くことを勧めたそうです。


 話題には1970年代のニオイが立ちこめています。 しかし、3回とも彼はそれとは別のルートを選択したようです。


 旅の終わり、パリ・オルリー空港からモスクワ経由で羽田まで、125ドルの格安航空券を買った彼は、アエロフロートのキャンセル待ちで最後の一人で乗り込めたそうです。彼の次でキャンセルを待っていた日本人の少女が、藤圭子だったと、あとで思いつきます。


 彼も楽屋話を書くようになったのかと、少し淋しい気持ちにもなりますが、それはそれで面白いものです。もう十年も前の本ですが。



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