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千年まえのコラムニスト [読書]

 文庫本は字が小さいので、とても読めません。岩波文庫にワイド版というのがあるので、ときどき出かけた折に、書店の棚を探してみます。それで『枕草子』でも読んでみようかと、池田亀鑑校訂というのを買ってみたのですが、なかなか読み進めません。いちいち古語辞典を引くのは視力的にも無理です。


 なにか適当な訳本はないかと思っていたのですが、以前、橋本治訳が話題になったのを思い出したり、岩波現代文庫に大庭みな子訳があることも知っていたのですが、そのままになっていました。


 そんな時、酒井順子訳というのを見つけて、手に取るはめになりました。ときどき岩波文庫ワイド版と見比べながら、読んでいますが、スイスイとページがすすみます。現代でいえば、雑誌のコラム集のようなもので、辛辣な感想があったり、帝や中宮の日常生活の描写があったり、元夫が出てきたり、清少納言という女性の生き生きとした感情が横溢しています。「好き」と「嫌い」で世界を二分してしまうのは、痛快です。


 まだ半分残っていますが、読むのが楽しみになります。本当にこんなことを書いているのかと、原文をみると、ほぼ逐語訳に近いもののようです。帝がネコをふところに入れていたり、物乞いのおどけたようすなど、千年まえの日常が生々しく語られています。


 女性はいつの時代も元気なんだなぁと、微笑ましくも愉快になります。



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