峠越えの趣味 [徘徊/旅行]
柳田國男「峠に関する二三の考察」を読んでいると、近江は四境ことごとく山なので、隣国へ越える五十二の峠路があると書いてあります。山城へ十八、伊賀へ八、伊勢へ九・・・といった具合です。
山の鞍部を越えていくのが楽ですが、そんな部位を古くは「たわ」もしくは「たをり」と言ったそうです。今日の「たわむ」と語源を同じくし、柳田は「たうげ・峠」もそこから来ているかもしれないと述べています。そういえば昔、「田和」さんという同僚がいたのを思い出します。
峠道は新しい道が開発されると、すぐ廃れてしまいます。まず沢を登る道ができて、次に物を運ぶに便利な勾配のゆるやかな道ができ、トンネルができてといった具合です。その都度、村落や茶店が古い道に取り残されます。
「山岳会」に対抗して、峠越えの楽しみを報告し合う「峠会」を作りたいと、明治43年(1910)、35歳の柳田は冗談めかして書いています。
山路来て何やらゆかしすみれ草 (芭蕉)
2019-04-17 17:38
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コメント(1)
ご訪問 & nice! ありがとうございました。
また遊びに来ます。
by センニン (2019-04-17 19:50)