来年はトラ年ですが、前回の寅年は平成 22年で年初の首相は鳩山由紀夫さんでした。なにかもう遠い昔のように感じられます。「えと」が5回めぐれば還暦になってしまうのですから、12年はけっこう長い年月のようです。


 日本には野生の虎はいなかったはずなのに、「とら」という和語があるのは不思議です。朝鮮語由来という説があります。古来、朝鮮からの贈り物に虎皮があったそうです。そういえば、雷神さんは虎皮のふんどしだし、加藤清正の朝鮮での虎退治も有名です。


 虎という字を含む言葉やことわざがたくさんあります。「虎の子」、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」、「虎の尾を踏む」、「虎の威を借る狐」など・・・。


 また、「大人(たいじん)は虎変す。君子は豹変し、小人は面(おもて)を革(あらた)む。」という易経の言葉もあります。大人や君子は虎や豹の皮の文(あや)ように美しく日進月歩、変化していく。これに反して小人(しょうじん)は顔面だけ、上の人の意に従う態度をとる、といった意味だそうです(諸橋轍次『中国古典名言事典』講談社)。


 大人でも君子でもない身としては、面を革めながら生きてゆく他ありません。週に1度ほど和歌山城内を散歩しますが、昔の人も上役の顔色を見ながら暮らしていたのだろうと推察します。そういえば和歌山城の天守閣のある所は虎伏山と呼ばれます。


 今年も残り少なくなりましたが、来年はどんな年になるのか。オミクロン株はどうなるか? 「虎を野に放つ」ような悲惨な結果になるのか、「張子の虎」で終わってくれるのか、息をひそめて待っている感じです。


「もういくつ寝ると」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2020-12-27