梅雨になって空気中の水分が増えたようです。買ったまま読んでいない本がたくさんあります。次にどれを読もうかと、しっけた本箱から取り出してみたのは、四方田犬彦『先生とわたし』(新潮社)です。奥付をみるともう九年も前の本です。当時、なにか書評でも読んで買う気になったのでしょう。

 本にも鮮度とか、読み頃がありますが、時間にさらして、忘れたころに、ふと読んでおもしろかったということもあります。音楽も同様でCD を買ってきて、一度聴いて、そのままになっていたのを、何年もして聴きなおしてびっくりすることがあります。なにか波長のあう時機というのがあるのでしょう。

 さっきまで読んでいたのは、丸谷才一『綾とりで天の川』(文藝春秋)です。これは十一年も前の本です。しかし、これは最近 Amazon で取り寄せました。「オール讀物」に連載したシリーズを遡って読んでいます。寝る前の読書にちょうどいい読物です。梅雨どきの寝苦しい夜の安眠を助けてくれます。

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