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ピアノ・トリオを聴きながら [読書]


 今年の1月にマイク・モラスキー『ジャズピアノ上/下』(岩波書店)という本が、毎日新聞の書評欄で紹介されていたのですが、書店に行くと同著者の『ピアノトリオ』(岩波新書)というのが平積みされていました。前書は2巻本の大著ですが、こちらは新書なので、とりあえず読んでみることにしました。「モダンジャズへの入り口」という副題が付いていました。



 著者は1956年セントルイス生まれで、ジャズ・ピアニストの経験があり、早稲田大学教授でもあり、『戦後日本のジャズ文化 映画・文学・アングラ』(青土社)でサントリー学芸賞を受賞しています。編集者の手助けがあったようですが、良く分かる日本語で書かれています。



 読み出してまず驚いたのは、「パーツ別に聴く」ということでした。どうしてもメロディが耳につくのですが、ベースがリズムとハーモニーの基本になっているので、まずベースの音を聴く。ピアノは左手の音を聴き、また別に右手の音を聴く。ピアニストによって手の使い方に特徴があるそうです。



 なんともマニアックな聴き方だなと思ったのですが、試してみると確かに、今まで聴いていなかった細部に耳がとどき、演奏が立体的なった気がします。左手は時々コードを鳴らすだけの人、常に左手が音を出しているピアニストなどいろいろなことに気が付きます。



 ビッグ・バンドの演奏だと大きなホールが必要ですが、小さなバーやクラブ用に、また演奏中にも飲み食いできるようにピアノ・トリオが作られたとか、初期のピアノ・トリオはピアノ、ベース、ギターの組み合わせだったが、1950年代半ばからギターに代わってドラムになったとか、ジャズの歴史が所々で語られています。



 そしてピアノ奏法・・・ユニゾン奏法、ブロックコード、ロックハンド奏法といった素人には理解しにくい話もありますが、その後、ジャズ・ピアノの名盤についての具体的な解説が続きます。



 例えばレッド・ガーランドのアルバム『グルーヴィー』について、1曲目の <「Cジャム・ブルース」の 1:25-1:40 におけるガーランドの左手のリズムに注目したい。(中略)この一五秒間を繰り返し聴いてもらうことになる。目的は、読者自身が身体でガーランドの左手が刻むリズムを感じ取るようになることである。>



 確かに漫然と聞き流していては、分からないことが聴こえてくるのかも知れません。今後はせめてピアニストの左手と右手を意識して聴いてみようかと反省させられた読書でした。


#「愛でるということ」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2024-01-20




ピアノトリオ モダンジャズへの入り口 (岩波新書)

ピアノトリオ モダンジャズへの入り口 (岩波新書)

  • 作者: マイク モラスキー
  • 出版社: 岩波書店
  • 発売日: 2024/03/25
  • メディア: Kindle版

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