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新玉ネギの美味しさ [食物]

 先日、淡路島に住む兄が新玉ネギを送ってくれました。みずみずしく、辛味がなく、普通の玉ネギとは別物です。昨年はわたしの小学校の同級生が栽培したものでしたが、今年のは違うようでした。


 淡路島は昔から玉ネギの産地で、この季節、わたしが子供の頃には出来過ぎた玉ネギが大量に小川に廃棄され、あたり一面に臭いが漂っていました。当時、新玉ネギというものを食べた記憶はなく、玉ネギといえば軒に吊るして保存して食べるものだけでした。


 新玉ネギというのは極早生品種で、また、いわゆる玉ネギが収穫後一ヶ月ほど乾燥させてから出荷するのに対し、採りたてを出荷するのだそうです。子供の頃には、そもそも無かったようです。


 新玉ネギを一個そのままラップにくるみ、5分ほどレンジにかければ、柔らかく新鮮で、美味しく食べられます。晩春の味で、ハモ鍋の具材にも最適です。


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 ビル・ローズ『図説 世界史を変えた50の植物』(柴田譲治訳 原書房)によれば、玉ネギは五千年前の西南アジアが原産とされていますが詳細は不明なようです。聖トマス祭の前夜(12月20日)に玉ネギを枕の下に置いて寝ると、将来の配偶者の姿を見ることができるという言い伝えがあるそうです。


 また、< フランスのブルターニュ地方北西部で、タマネギの収穫が始まると、ブルターニュの若者は家族の自転車を借り、タマネギをできるかぎりたくさんハンドルにぶら下げてサンブリューやトレギエの漁港へと走り下った。彼らはアルビオンの日(Journee' d'Albion [「アルビオン」とはブリテン島のこと])にイギリス行きの船に乗り、イギリスの家庭を訪ねてはこの初物タマネギを販売した。彼らはオニオン・ジョニーズと呼ばれ、先祖代々そうであったようにブルターニュ地方の伝統的なベレー帽にセーターという出で立ちだった。(後略)> という風習を記載しています。


 人類最古の栽培植物のひとつとされる玉ネギですが、日本で作られるようになったのは明治になってからで、札幌農学校が最初だそうです。ネギは奈良時代には伝来している日本人に馴染み深い野菜なのに、玉ネギが伝わらなかったのは不思議です。




図説 世界史を変えた50の植物

図説 世界史を変えた50の植物

  • 出版社: 原書房
  • メディア: 単行本

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