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顔の記憶 [雑感]

 どういうわけか数日前、頭の中でかすかに旋律の一部が繰り返し聞こえ始めました。これは何か聞いたことのある唄だなと思いましたが、思い出せません。一時間ほどして、ふと、”春風にのって” だったかなと思いついて、YouTube で検索してみましたが、該当するものはありませんでした。


 また一時間ほどして、ふと ”そよ風にのって” かな? と YouTube を見てみると、有りました。マージョリー・ノエル「そよ風にのって」でした。Wiki.で調べると、1965年に流行ったフレンチ・ポップスでした。確かに私が高校生だったころ、ラジオからよく流れていました。


 それにしても、57年も前の曲がなぜ耳の奥で鳴り出したのかは不思議です。何か記憶を呼び覚ます誘引があったのでしょうか? 思い当たりません。


 記憶というのは不思議なものです。数年前、列車に乗っていると、後方から中年の女の人が近づいてきて、「 Aさんですね」とわたしの名前を呼んで、親しげに話しかけてきました。怪訝な気持ちで相手の顔を見ていると、「〇〇で一緒に仕事をしたアヅミです」と言います。確かに、わたしも〇〇で働きましたが、安住さんという名前に記憶がありません。しげしげと風貌を眺めましたが、思い当たる人がありません。「どうも思い出せません・・・、15年も経つと、女性は姿かたちが変わるんでしょうね、申し訳ありません」と謝りました。女の人は納得できないようすで、後方に戻っていきました。


 自宅に帰ってから、当時の職員名簿を繰ってみました。安住さんは見当たりません、が、アッ!、渥美さんというのが有りました。渥美さんならなんとなく記憶に残っています。あの人は渥美さんだったに違いありません。失礼なことをしてしまったと、落ち込みました。わたしが「アツミ」を「アヅミ」と聞き違え、「安住さん」と勝手に思い込んで迷路に入り込んだようです。


 その時、その女性の名を「渥美さん」と聞き取っていれば、名前から記憶が蘇っただろうにと悔やまれました。一般に、顔は分かっているのに名前が思い出せないことは多いですが、逆に、顔認証はできなくても名前で思い出すというのもあると体験しました。記憶というのは、やはり不思議なものです。






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