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ハイティンクの一枚 [音楽]

 秋が深まり近くの雑木林も黄葉の気配です。来週あたり柿の栽培地に出かけてみようかと思っています。陽光を吸収して結実した富有柿は秋の実りを実感させてくれます。いよいよ今年も終わりだと意識します。


 先日の新聞には指揮者のベルナルト・ハイティンクの他界が報じられていました。わたしが音楽を聴くようになった頃から、いつも名前が目についたような人でした。カラヤンやバーンスタインはとっくに居なくなっているのに、息の長い人だと改めて驚きました。彼は1929年生まれですから、1908年生まれのカラヤン、1918年生まれのバーンスタインに比べれば若いのですが、二人がもう 30年以上前に他界しているので、そんな気持ちになるのでしょう。それだけ彼が若くから活躍していたということで、事実、32歳で名門、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者になっています。


 ハイティンクをすごいと思ったのは、彼が指揮する、ショスタコーヴィッチの交響曲第5番(コンセルトヘボウ管弦楽団、1981年録音) を聴いた時です。こんなに悲哀に満ち、かつ美しい音楽があるのかと驚きました。均整が取れ、迫力もある演奏です。才能の結実を感じさせます。


 ハイティンクは 90歳近くまで現役だったようですが、指揮者には高齢まで活躍する人が多いようです。1時間以上、立ったまま両腕を振り続けるのは重労働のはずです。また、70歳を過ぎれば高音が聞きづらくなるのが普通です。もっとも、ベートーヴェンは難聴で、聴衆の拍手に気づかなかったという逸話がありますので、指揮には影響ないのかも知れません。


 だんだんと馴染みの指揮者が居なくなるのは寂しい気持ちです。まあ、古い CD を聴くぶんには関係ありませんが、今となっては、過去の記録は貴重な埋蔵金のように思えます。


 11月になると年賀欠礼の通知が何枚か届きますが、ハイティンクもその一枚のように感じられました。






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