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チェロの音色 [音楽]

 宮沢賢治の童話『セロ弾きのゴーシュ』の影響だったのか、大学生の頃、チェロの曲のレコードを何枚か買った記憶があります。ハイドンやドヴォルザークのチェロ協奏曲とかベートーヴェンのチェロ・ソナタでした。大人になってからも、オーフラ・ハーノイとかミッシャ・マイスキーといったチェリストによる小品集の CDを聴きました。フォーレ「夢のあとに」とかエルガー「愛のあいさつ」、カザルス「鳥の歌」などが入っていました。


 チェロは音域が低いので、ヴァイオリンが頭に響くとすれば、チェロは胸で聴くように感じられます。バッハには無伴奏チェロ組曲というチェロ独奏の曲集がありますが、胸にだけ響くので、聴く時を選びます。日常的にはピアノとチェロで演奏するチェロ・ソナタとか、ピアノとヴァイオリンとチェロのピアノ三重奏曲などが音色に変化があり、演奏者どうしのかけ合いが楽しめ、聴きやすいです。


 ブラームスのチェロ・ソナタはしみじみとした味わいがあり、いいものです。ピアノ三重奏曲ではチャイコフスキーに「偉大な芸術家の思い出に」という曲があります。ピアノ、ヴァイオリン、チェロの名手たちの熱っぽい、火花の散るような演奏が聴かれます。音楽を聴く楽しみのひとつです。独奏チェロとオーケストラによるチェロ協奏曲にはドヴォルザークの奇跡のような一曲がありますが、シューマンやエルガーの曲にも心が惹かれます。


 『セロ弾きのゴーシュ』では野ねずみの母親がチェロを練習しているゴーシュに言います。


 「はい、ここらのものは病気になるとみんな先生のおうちの床下にはいって療(なお)すのでございます。」

 「すると療るのか。」

 「はい。からだ中とても血のまわりがよくなって大変いい気持ちですぐ療る方もあればうちへ帰ってから療る方もあります。」


 宮沢賢治はチェロの音に音楽療法の可能性を感じていたのかも知れませんね。バッハの「無伴奏チェロ組曲」などを聴いていると、30分もすると、知らぬ間に眠っています。




 


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