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ネアンデルタール人の面影 [雑感]

   昨日はインフルエンザ・ワクチンを打ってもらいました。病気の予防という面では、ワクチンは手っ取り早く効果が期待できます。天然痘はワクチンのおかげで撲滅できました。千円札になった夏目漱石の顔は修正されていますが、実際は子供の頃に罹った天然痘でアバタだらけだったそうです。


 はしか(麻疹)ももう少しでワクチンで抑え込めるかも知れません。昔は「はしかのようなもの」という言葉が「若い人が何かに一時的にかぶれる状況」の比喩として使われる程、はしかはありふれていましたが、今でははしかを知る人はまれになっています。


 ヨーロッパでは新型コロナが再度、猛威を振るっています。この波がまた日本にやってくるのかどうか不安な気持ちになります。ただ、ヨーロッパ人での発生頻度が東アジア人に比べて桁違いに多いのには、何か原因があるのか興味があります。昨日、昼食会の席で毎日新聞のこんな記事が話題になりました。


 遺伝子を解析し、ネアンデルタール人とわたしたち人類には交配があったことを示した S.ペーボが最近、新型コロナの重症化に関わる遺伝子型がネアンデルタール人から受け継いでいるものだと報告したというのです。


 その遺伝子型はヨーロッパ人では16%が保有し、南アジア人では50%持っているのに対し、東アジア人ではほとんど保有していないそうです。新型コロナの重症化の地域差の背景に絶滅したネアンデルタール人の遺伝子が関与しているという深遠な話です。


 遺伝子型によって顕著な地域差が見られるものとして、アルコールが飲めない人(下戸)の頻度差があります。これはALDH2という酵素の遺伝子の変異が原因ですが、<変異型は中国南部を中心とした極東アジアに多く、そこから離れると徐々に保有率が低下していくことがわかります。ヨーロッパやアフリカの人々には、変異型の遺伝子を持つ人はほとんどいません。> 日本人では 23.9%が下戸タイプで特殊です。(篠田謙一『新版 日本人になった祖先たち』NHKブックス)


 日本人では下戸の人がいるのは当たり前ですが、ヨーロッパやアフリカの人たちにとってはアルコールが飲めない人というのは非常に奇異なことなんでしょう。


 新型コロナに強い人と弱い人、ワクチン接種で抗体の出来やすい人と出来にくい人、薬剤が効きやすい人、薬で副作用の出やすい人などいろんな遺伝子型が考えられます。パンデミックは人類の生存に関わる様々な要因をも露わにするようです。


#「ネアンデルタール人との関係」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2015-11-23


新版 日本人になった祖先たち―DNAが解明する多元的構造 (NHKブックス No.1255)

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  • 作者: 篠田 謙一
  • 出版社: NHK出版
  • 発売日: 2019/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

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