こころに残る外国の短篇小説 [読書]
トランプ大統領の新型コロナ感染には驚きましたが、賭けごとの大好きなイギリスではきっと、大統領選挙のゆくえが賭けの対象になっていることでしょう。
ロアルド・ダール(1916-1990)という英国の作家には「南から来た男」という賭けをテーマにした短篇小説があります。 <(前略)アンタが、その有名なライターでつづけて十回、一度もミスしないで火がつけられるかどうか、ワタシはできない方に賭ける」/「じゃ、できる方にぼくは賭けましょう」> 金持ちという「ワタシ」は車のキャディラックを賭け、若者の「ぼく」は左手の小指を賭けるというトンデモナイはめになる・・・。『あなたに似た人』(ハヤカワ文庫)という短篇集に入っています。
文庫のあとがきに訳者の田村隆一は、作家・都筑道夫の文章を引用しています。 そこで <わたしの考えている奇妙な味の短篇ベスト5>として都築が挙げているのは・・・
「開いた窓」 サキ
「夢判断」 ジョン・コリア
「死んだガブリエル」 A.シュニッツラー
「蛇」 J.スタインベック
「南から来た男」 ロアルド・ダール
こんな取り合わせです。小説の好みは人それぞれでしょう。では、わたしは外国の短篇小説ではどんなのが心に残っているのか? 思い返してみます。
サマセット・モーム「雨」
モーパッサン「脂肪の塊」
チェーホフ「六号室」
魯迅「阿Q正伝」
ヘッセ「小人」
どうもいたって普通の顔ぶれです。しかも学生のころに読んだものがほとんどです。最近 50年間にも多少は読んだはずなのに、たいして記憶に残っていないようです。
かといって若いころ読んで面白かったと思って、ハーディ「羊飼の見た事件」、マンスフィールド「園遊会」を再読してみましたが、何がよかったのか腑に落ちませんでした。
なんのことはない、年齢とともに感受性が鈍麻しているということかも知れません。
#「こころに残る短篇小説」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2019-06-24