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最上川のこと [雑感]

 昨日は山形県で大雨が降って、最上川が氾濫し、大石田などが洪水になったようです。今年も各地で災害が続発し、なんとも心が痛みます。


   大石田という所へは行ったことはありませんが、芭蕉『奥の細道』には「最上川乗らんと、大石田といふ所に日和を待つ」とでてきます。元禄2年(1689)7月14日(陽暦)のことで、芭蕉 46歳。


  五月雨(さみだれ)を集めて早し最上川 (芭蕉)


 また、大石田は戦災で焼け出された斎藤茂吉が戦後、しばらく疎開していた場所でもあります。茂吉は「僕も大石田に来て、郷里の名川最上川の歌を作りたい。芭蕉の俳句に負けない歌を作って、一首でも後世に遺るようにしたい」と言っていたそうです(北杜夫『茂吉晩年「白き山」「つきかげ」時代』岩波書店)。


 「○上山ヨリノ金円ヲ交ヘ、宗吉*、ニ学費少シヲ呉レタ、残リノ金ヲ整理、○午後四人ニテ散歩、大吹雪トナリ、橋上行キガタイ様子トナツタ、最上川逆流」(1946年2月18日 茂吉日記抄  *北杜夫の本名)


  最上川逆白波(さかしらなみ)のたつまでに

     ふぶくゆふべとなりにけるかも (斎藤茂吉)


 歌人や俳人が山や川を詠うのは地霊への呼びかけであり、挨拶であり、祈りでもあるのでしょうが、毎年のように地が揺れ、山が崩れ、川が氾濫する状況には、ただただ畏怖をおぼえるばかりです。


  #「マスクの茂吉」 https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2020-03-18


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