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私立探偵の話 [読書]

  世は「コロナ疲れ」とか、わたしは「薬物療法疲れ」です。やっと食べられるようになったと思えば、また次の治療が始まって、ムカツクようになる。そんなことを繰り返して第5クールが過ぎ、あと1回になりました。あと1回かと安堵するとともに、あと1回で、はたして治療が終わるのだろうかと、不安な気持ちにもなります。いずれにしても、とりあえず、次が終われば少し休みたいなと、疲れた気分です。


 気を紛らわすのに、PCに入っている古い流行歌を聞き流したり、家内が読んでいるたわいもない探偵小説に聴き入ったりします。 


   <「あなたが自分の判断で医師を呼ぶことだってできたはずです。なぜそうしなかったのですか?」/彼女は真正面からじっと私を見た。目は淡く輝いていた。そこには涙の予感がうかがえたかもしれない。一分の隙もなく美しかった。/「それは私が夫を愛しているからです、ミスタ・マーロウ。彼を助けるためなら何だってします。・・・>


 レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』(村上春樹訳 早川書房)は目をつむって聴いていても、映画のように場面が目に浮かびます。「このひと」が犯行に関わっているんだろうなと考えを巡らせます。大抵わたしの犯人予想は間違っているのですが、小説の世界では、美人すぎる、美男子すぎるというのはどこか犯罪の匂いが漂います。

 

 私立探偵というのが、実際の世間のなかでどんな仕事をし、どの程度に関わっているのかは詳しくは知りませんが、素行調査、信用調査など働いている場面は多いのでしょう。



   レイモンド・チャンドラー:1888年シカゴ生まれ。両親はアイルランド系。父親のアルコール中毒による両親の離婚にともない少青年期をイギリスで暮らす。第一次世界大戦に従軍。35歳で18歳年上のシシィと結婚。彼女が 84歳で他界すると、傷心のあまり自殺、未遂。アルコール依存の傾向あり。『The Long Goodbye』はシシィを看病しながら書き続けていた様子。1959年没。享年 70。


#「父親をめぐる冒険」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2019-05-22

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