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南紀の風光 [雑感]

  16年ほど住んだ南の町を引き上げて、旧居にもどることにしました。南国では陽光が明るく、空の色を写して晴れた日には海はライト・ブルーです。何よりも温暖で体がのびのびします。


 食べ物は魚介類が豊富で、カツオやマグロの刺身、イカの一夜干し、クエや赤ッポの鍋などが街中の店で手軽に食べられます。マーケットでは時々、マンボウも売っており、塩・胡椒をして焼くと焼き鳥のような食感です。


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 人柄は概ね大らかで、開放的で話好きです。南方熊楠の屋敷が残り、合気道の創始者・植芝盛平の生まれたところでもあります。岡の上の高山寺には二人の墓石が海に向かって立っています。また源平合戦にゆかりの闘雞神社があり、JR駅前では薙刀を持った弁慶の銅像が出迎えます。



  雨にけふる神島を見て紀伊の國の生みし南方熊楠を思ふ(昭和天皇)


 神島(かしま)は田辺湾内にある小島で、昭和4年に熊楠が天皇を案内した島です。歌は三十数年後、天皇が白浜から神島を眺めた折のものだそうです。


 白浜(牟婁の湯)との関わりでいえば、658年、有間皇子が「磐代の浜松が枝を引き結びま幸くあらばまた還り見む」と悲痛な歌を残した松林の雰囲気も残っています。その海辺を後鳥羽上皇の熊野詣に随従した藤原定家が通ったのはその 543年後です。


 南国の風にすっかりなじんで仕事ができたのは、何と言っても人間関係の親密さによると思われます。大都会から充分に離れていて、地方都市はお互いに顔や家族が見える範囲内で暮らせる社会です。


 ただ今後、更なる人口減少によって商店や学校などの社会基盤が脅かされる情況が続きます。今回の新型コロナウイルス騒動でも分かるように、一極集中ではなく、分散して暮らせる社会を目指したいものです。




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