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わたしの回想 [読書]

 南国の当地でも、今日はいっとき、雪が降りました。積もってはいませんが、奥山は薄っすらと雪化粧をしています。


 23日、東京へ出かけてきたのですが、途中、伊吹山や富士山は六合目くらいまで雪でしたが、都内は思うほど寒くはありませんでした。今は冷え込んでいることでしょう。


 数日前から、加藤周一『続 羊の歌ーわが回想』(岩波新書)を読んでいます。『続』は戦後の1945年9月から始まっています。本郷の病院の無給の副手で、病室に住み込み、診療と血液学の研究に没頭していたそうです。そして、東京帝国大学医学部と米国の軍医団が共同で広島へ送った「原子爆弾影響合同調査団」に参加し、広島の惨状をつぶさに見ています。


 <・・・広島で知合った L中尉を通じて、占領軍が徴用していた築地の聖路加病院の構内へ入る特別許可証をもらった。「許可なくして立入る者は射殺さるべし」と貼紙のしてある門のとこで、武装した衛兵にその許可証をみせると、私たちは米国人の医者や看護婦が往来している病院の廊下を通って図書室へ行くことができた。私はそこで新しい米国の医学雑誌をむさぼるように読んだ。(中略)そのために私はほとんど「蘭学事始」の昔を想い出した。>


 著者はフランス政府給費留学生の試験を受け、給費生にはなれなかったようですが「半給費生」となり、旅費と生活費は自分持ちという条件で、1951年、フランスに渡ることになります。パリ・オルリー空港には前年の給費生である森有正などが出迎えてくれます。


 久しぶりに、森有正という名前を見ましたが、1970年ごろ、わたしには『バビロンの流れのほとりにて』という彼の本を、毎日、毎日、読んで過ごした日々がありました。どんなふうに生きていくか、さまよっていた時代です。


 西洋見物に出かけた加藤周一は、そこで第二の出発をし、「加藤周一」となる。いまさらながらの古い本ですが、いろんなところで「わたしの回想」にも繋がってきます。


 #「想いはめぐる」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2019-01-15


続 羊の歌―わが回想 (岩波新書 青版 690)

続 羊の歌―わが回想 (岩波新書 青版 690)

  • 作者: 加藤 周一
  • 出版社: 岩波書店
  • メディア: 新書

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