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読書のダイゴミ [読書]

 今日の毎日新聞を見ていると、三浦雅士『孤独の発明 または言語の政治学』(講談社)が広告に出ており、「重版 出来」と書かれています。よく見かける文字で、なんとなく意味は分かりますが、はて、どう読むのだろう? と考えこみました。「しゅつらい」、「でき」、「でく」?


 「しゅったい」と読むそうです。なるほどと思いますが、「しゅったい」では何か事件でも起こったような雰囲気に感じます。出版業界の言葉なのでしょう。


 それにしても、こんな 550頁もあり、3500円(税別)もする、ぎっしり文字の詰まった本が「重版」とは、やはり事件に類することなのかも知れません。


 まだこの本は 190頁しか読んでいませんが・・・万葉集の額田王の「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」の歌の状況などの話から・・・折口信夫は「柿本人麻呂」(一九三三)の中で「万葉集の詞書きは、歌の意味から逆推して作つたものが多く、殊に、古く正式なものと思はれてゐる巻一・二の物においては、殆全部がさうであつた、と言へるのだ」と述べているといった話題が出て来たりします。


 いわれてみれば、そうかも知れないと思います。「万葉集」の編纂といった国家的プロジェクトに政治的なおもわくが働かないとする方が不自然です。歌は伝承されてきても、誰がどんな時に歌ったのか、詞書きは何とでもなるでしょう。


 読書の醍醐味にあふれた本です。 「祝 重版 出来」です。




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