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からだで生きている [読書]

 兄を見舞いに大森まで出かけてきました。回復傾向にあり、少し安心しました。夕食は八重洲北口の近くの「魚がし鮨」で食べました。小麦製品が食べられなくなって、つい和食になります。ただ注意しないと、先日の「いとこ会」では田楽を食べ、あとで生麩だとわかり心配しました。少量だったためか、大事には至りませんでしたが・・・。


 台風騒ぎが収まったと思えば、すっかり秋の気配です。東京駅のコンコースに吹く風も肌寒く感じられます。 翌日は千葉に住む長男一家と昼を一緒にし、丸の内の丸善で本をすこし眺め帰宅しました。


 三浦雅士『孤独の発明 あるいは言語の政治学』(講談社)をぼちぼちと読み始めました。彼の本はいつも刺激的で、ときに理解し難い文章もありますが、なるほどと思わせる卓見に出会えます。新作が出ればつい買ってしまいます。最初に読んだのは『身体の零度』(講談社叢書メチエ)という本でした。


 そういえば同じころに出た養老孟司の『身体の文学史』(新潮社)も目の覚めるような鮮やかな本でした。もう二十年以上前になりますが、当時、身体をめぐる論考が盛んでした。


 その後、身体の仮想現実化はますます進み、先日、兄の病室に居るとき、教授廻診がありましたが、誰も体を診察することなく、データを見、ヴァーチャル画像を見ながら「良くなっていますよ」といって部屋を出て行きます。


 口で鮨を食べ、肌で秋風を受け、からだで生き、自宅に帰れば疲れたと感じる。当たり前の暮らしにまた戻ります


 ちなみに三浦雅士の妹は松田聖子「青い珊瑚礁」などの作詞家・三浦徳子だそうです。多才な兄妹ですね。


#「秋の夜長の一冊」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2018-10-21

 

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