岬へ [読書]
春の岬 旅のをはりの鷗どり
浮きつつ遠くなりにけるかも
(三好達治)
詩碑は達治ゆかりの福井県の東尋坊にたっていますが、ゆったりとした歌の調子からは、どこか温暖な地方の岬がふさわしいように思えます。
高田宏『岬へ』は雑誌「旅」に連載した各地の岬への紀行集です。まず最初が犬吠埼で、日の出の情景を記録しています。次が丹後半島の経ケ岬の小ぶりな白い灯台・・・
以前、伊良湖岬からフェリーに乗って鳥羽へ渡ったことがあります。途中、三島由紀夫の『潮騒』の舞台となった神島が左舷に見えます。岩肌にへばりついたような村が見渡せます。
明日は冬至ですが、寒い日に春の岬を想像すると少し温かくなります。