ぼくの叔父さん [雑感]
ブルーノ・ワルター指揮のモーツァルトを聴かせてくれた叔父さんは、わたしの母の弟です。わたしより二十歳年上でした。子供のころにはよく野山歩きに連れていってくれました。植物のことや星座の話しをしてくれましたが、知識が無尽蔵のように思えました。
高校・大学生のころには本や音楽の話題が多くなりました。ジェームス・ジョイス『若い芸術家の肖像』とかルネ・デユボス『健康という幻想』、また有名になるまえの養老孟司『ヒトの見方』とか白洲正子『かくれ里』など、黙ってスッと目の前に置いてくれます。興味があったら読んでみたらといった感じです。
柳田国男や幸田露伴が好きで『秋風帖』など感に堪えないといったくちぶりでした。本棚には柳田国男集や南方熊楠全集が並んでいました。
音楽はリリー・クラウスのピアノが好みのようでした。サンスイのステレオを置いていました。ポケットにはカール・ツァイスの虫眼鏡が入っていました。
1995年の阪神淡路大震災で自宅が被害を受け、本棚は倒れ、庭に植えた採集した植物もいたんだようです。自律神経を患い、地震の翌年に他界しました。ちょうど今のわたし程の年齢でした。 ぼくの叔父さん。
#「カール・ベームの音楽」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2014-09-08