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音をつくる [音楽]

 先日、指揮者のフランス・ブリュッヘンが他界されました。もう二十年も前にわたしの住む地方で、彼の率いる「18世紀オーケストラ」と共に公演しました。演目はベートーヴェン「コリオラン序曲」と「田園」だったと思います。

 オーケストラの実演などほとんど初めての経験だったのですが、第一音が鳴った瞬間、なんとキッチリとそろって音がでるもんだと驚愕した記憶があります。

 ふだん、ラジオやCDで音楽を聴いていると、きっちり枠内におさまっていて、完全にデジタルにコントロールされているという感じがしますが、実演では百人もの人々が、それぞれ一個ずつ楽器を持って、手足口を使って音を造っているのがよく分かります。あくまでも身体を動かして音楽ができてくるのです。

 ただ会場では、プログラムをめくる音や、隣のおばさんの寝息や、一斉の咳ばらいなどの色々な音にも取り囲まれています。そういう意味でも、実演はいたって身体的です。

 フランス・ブリュッヘン指揮「18世紀オーケストラ」の完璧とも思える音のコントロールは、猥雑な日常の音のなかで、なにか音の結晶のように聞こえました。


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