2024年の「この3冊」 [読書]
毎年、歳末になると毎日新聞では「この3冊」と題して、書評者が今年出た本から3冊を選んで紹介してくれます。書評者は36人いるので重複を引いても、取り上げられる本は100冊程にもなります。色々な分野の専門家の推薦文を眺めながら、今年はこんな本が出版されたのかと、いろんな分野に関心が惹かれます。
また、好みの書評者が今年はどんな本を3冊に挙げるのかも楽しみです。まず詩人の荒川洋治が野口冨士男『散るを別れと』(小学館)を紹介しているのが目に止まりました。ラフカディオ・ハーンの奥さんの小泉節子とか斎藤緑雨などにまつわる小説のようです。荒川洋治は <事実の深みを映し出す、著者中期の名編> としています。野口冨士男は以前、『なぎの葉考』という短篇小説を読んで絶品と思った覚えがあるので、早速、読んでみることにしました。
昨年読んで目からウロコの思いをした人口・家族人類学者のエマニュエル・トッドの新刊『西洋の敗北』(文藝春秋)を佐藤優が推薦していて、これにも食指が動きます。佐藤優は <・・・キリスト教的価値観が完全に崩壊し、宗教ゼロの状態になってしまった欧米諸国がロシアに敗北する必然性について説得力のある説明をしている。> と書いています。
また2年前に読んで楽しめた『ワルシャワで大人になっていく少年の物語』の著者・アイザック・B・シンガーの小説『モスキット一族』を辻原登と沼野充義の二人が賞賛しているのが目につきました。ただこの本は6600円もするので、まあいいかとスルーします。
もうひとつは自分が今年読んで面白かった本を誰かが選んでいないか? というのにも関心があります。うれしいことに、わたしが今秋に読んだ辻原登『陥穽 陸奥宗光の青春』を張競さんと湯川豊さんが選んでいました。そうですよね、いい本ですよね、と相槌を打ちたい気持ちになりました。
毎年ここに出て来た本を本選びの参考にもしているので、また本を読む楽しみが来年にも続きそうです。大したことも考えず、音楽を聴いたり、本を読んだり、徘徊したりのご気楽な暮らしが身についてしまっているようです。
おはようございます^^
本を読むと言うことは素晴らしいことだと思っています。目が大丈夫なうちはわたくしも本は読み続けるつもり(ろくな本じゃないけれど)
by mm (2024-12-25 06:46)
荒川洋治さん・・・懐かしい名前です。
若いころ手紙を出したことがあります。
それで集まりに来ませんかと呼ばれて
出掛けました。
by yoko-minato (2024-12-25 08:43)
mmさん、本は知らない世界へ案内してくれますね。
人間が文字を持って以来の、思ったこと考えたこと
感じたことの表現の総量と言えるかもしれません。
そんな宝の山を漁るのは楽しいですね。
by 爛漫亭 (2024-12-25 10:58)
yoko-minatoさん、荒川洋治さんと面識がおありだとは
驚きました。詩の集まりだったのでしょうか? 荒川さんは
20代の頃から既に詩人でしたね。
by 爛漫亭 (2024-12-25 11:16)
新聞の書評欄は読むのが楽しいですね。
いろんなジャンルの本が紹介されますし、
未知の本とも出合えます。
おっしゃるように自分が読んだ本が選ばれていると
わが意を得たりと言う気分になりますね。
私は新聞を取るのをやめて、何も不自由は感じないのですが
書評と映画評など文化面が読めないのが残念です。
by そらへい (2024-12-27 20:00)
そらへいさん、私も視力が低下して、紙の新聞は止め、
ネットで拡大して読んでいます。特に年末の「この3冊」
は毎年の楽しみです。以前は書評といえば小説・文学関係
が主だったのですが、近年は多様な分野の本が紹介され、
関心領域を拡げてくれますね。
by 爛漫亭 (2024-12-27 21:29)