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海馬と遊ぶ [雑感]

 ウクライナの戦況をテレビで見ていると、「正露丸」のことを思い出しました。特有な臭いのする丸薬を子どもの頃に呑まされました。大人になって知ったのですが、明治時代、日露戦争に出征する兵士に、食あたり水あたりの薬として携帯させたそうで、「征露丸」という名前だったそうです。


 戦後になって対外的に不穏当だろうと、「征」の行にんべんを取って「正露丸」と改名したのだそうです。


  実家が薬関係の仕事だったので、虚弱ぎみだったわたしは色んな薬を呑んだ記憶があります。なかでも熱が出て下がらなかった時に、サイの角の粉末である「犀角」というのを呑まされたのを覚えています。本当にサイのツノだったかは不明です。


 そういえば「龍角散」というのがありますが、名前からタツノオトシゴが入っているのだろうかと見てみると、杏仁、甘草などの植物性生薬で出来ているようです。


 タツノオトシゴ(hippocampus)は漢字では海馬と書かれ、薬として用いられた歴史があります。内臓を取り除き天日干ししたものだそうです。薬種商であった祖父の家の軒先にはマムシが何匹も干してありましたが、タツノオトシゴは見た記憶はありません。


 人間の脳の中にも海馬と呼ばれる部位があります。記憶に重要な働きをしており、アルツハイマー型認知症に関与していますが、部位の形がタツノオトシゴに似ているのだそうです。


 歳をとると何につけても色んな記憶が蘇ります。いわば自分の海馬で遊んでいるようなものかも知れません。



 

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コメント 8

enosan

正露丸、龍角散、犀角、マムシ、全部知っていますよ、
私もマムシ以外は全部飲んだ記憶があります。
これでお歳がわかります。
by enosan (2022-08-17 13:39) 

爛漫亭

 enosanさん、昔から各地に有名な薬が
ありますね。「陀羅尼助」とか和歌山では
「わかのうら」とか。これも一種の文化で
すね。
by 爛漫亭 (2022-08-17 14:11) 

そらへい

正露丸は、今でも愛用していますが
名前にそんな歴史があるとは知りませんでした。
子供の頃からよく腹を通したので
赤丸とか陀羅尼助とか飲みましたが
正露丸がいちばん効いています。
by そらへい (2022-08-17 20:20) 

爛漫亭

そらへいさん、昔は配置売薬で各家庭に
頭痛薬、腹痛薬など基本的なものが手近に
ありました。富山や奈良の薬屋さんが来て、
子ども達に紙風船をくれましたね。
by 爛漫亭 (2022-08-17 20:55) 

tai-yama

おじいさんは山菜を採りに行く感覚でマムシ狩りをしていたのかも(笑)。
by tai-yama (2022-08-17 23:38) 

爛漫亭

 tai-yamaさん、奄美などでもハブがいると
捕まえて持ってきてくれるようですね。
by 爛漫亭 (2022-08-18 07:18) 

yoko-minato

正露丸・・・そういう経緯があったのですね。
今でも我が家にあります。
そして龍角散も・・・


by yoko-minato (2022-08-21 06:39) 

爛漫亭

 yoko-minatoさん、いろんな由来があって
おもしろいですね。龍角散はなぜ龍角なんで
しょうね。
by 爛漫亭 (2022-08-21 09:42) 

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