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島の夏祭り [雑感]

 夏になると村はずれの海岸にある神社の夏祭りを思い出します。夕暮れになると父親を「早く!」と誘って出かけました。夜店のアセチレンの明かりと臭いが小さな境内にあふれていました。ギョウセン飴をノミで割って売る店、氷と塩の中で筒を回しながら作るアイスクリン、お面を並べた店、金魚すくいなど心をときめかせました。郷里・淡路島でのことです。当時、父親は 40代だったはずです。


 神社は「枯木さん」とよんでいましたが、正式には枯木神社でした。御神体は「枯木」だと聞かされていました。その枯木につかまって静御前が流れ着いたのだと教えられたように思うのですが、どうも怪しいようです。


 「日本書紀」巻第二十二(推古天皇)には < 三年、夏四月、沈香(じんこう)が、淡路島に漂着した。その大きさは一囲(ひとかかえ)。島人は、沈香とは知らずに、薪といっしょに竈(かまど)でもやした。その煙が遠くまで薫(かお)った。そこでふしぎにおもい、献じてきた。*> と記載されています。


 枯木神社の枯木は香木の沈香だったようです。推古三年といえば 595年です。香木は朝廷に献上したとあるので、今の御神体との関係は不明です。


 何年か前の同窓会で聞いたところでは、夏祭りはもうやっていないようでした。地区の同級生は何とか孫たちに夏祭りを見せてやりたいと復活を模索しているようでした。帰郷のおり車で神社のそばを通りますが、子どもの頃、夜店がいっぱい並んでいた境内が、今見るとあまりにも狭いのに驚きます。


*『原本現代訳 日本書紀(中)』(山田宗睦 訳 ニュートンプレス)


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そらへい

私たちのところではお祭りは春まつりなので
夏は盆踊りですね。
アセチレンガスの臭いが立ちこめた中
夜店がお寺の参道に並んでいました。
確かにその参道、今見ると狭いですね。
そして私たちのところでも盆踊りは
いつしかお寺を離れて公民館のそばの
公園で開かれるようになりました。
by そらへい (2022-08-03 20:48) 

爛漫亭

 そらへいさん、子どもにとって夜店は
別世界でしたね。祭りの夜は若い衆が
喧嘩をしたり、夜の海で泳いだり、非日常な
雰囲気がありました。
by 爛漫亭 (2022-08-03 22:16) 

tai-yama

地域コミュニティあっての祭りですね・・・・
復活は難しそう。
by tai-yama (2022-08-03 23:50) 

爛漫亭

 tai-yamaさん、そうですね、田舎は子どもが
激減していますから、夜店に来るのがおじいさん
では成り立ちませんね。
by 爛漫亭 (2022-08-04 08:27) 

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