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氷を愛す [読書]

  立春も過ぎ、寒いながらも日足が延び、戸外が明るくなってきました。例年ならインフルエンザが流行っている時期ですが、相変わらずオミクロン株が猛威をふるっています。来週位にはピークになるのでしょうか? 先日、3回目のコロナ・ワクチンを打ちました。わたしは当日の夜に微熱がありましたが翌日には改善しました。家内は節々が痛く倦怠感が強いと寝込みました。


 北京オリンピックが始まりましたが、まだ熱心に観戦する気が起こりません。元もと雪や氷には縁のない地方に暮らしているので、スキーやスケートには馴染みがありません。ただ、4年に一度の大会なので、選手にとってはいろんなドラマが待っていることでしょう。そのうちつい惹きこまれて、テレビ観戦が楽しくなるかもしれません。


 日曜日の新聞の書評欄に、室生犀星『我が愛する詩人の伝記』が取り上げられていたのを読んで、高校時代の教科書に載っていた犀星の詩を思い出しました。


   「切なき思ひぞ知る」  室生犀星


   我は張り詰めたる氷を愛す。

   斯(かか)る切なき思ひを愛す。

   我はその虹のごとく輝けるを見たり。 

   斯る花にあらざる花を愛す。

   我は氷の奥にあるものに同感す。

   その剣のごときものの中にある熱情を感ず。

   我はつねに狭小なる人生に住めり。

   その人生の荒涼の中に呻吟せり。

   さればこそ張り詰めたる氷を愛す。

   斯る切なき思ひを愛す。


 授業中、国語の先生に、この詩の6行目の「剣」は「つるぎ」ではなく「けん」と読んだ方が語感が鋭くて詩の内容に相応しいのではないかと、質した記憶があります。高齢の先生は何かもぐもぐと口ごもりながら答えてくれました。わたしも生意気盛りだったのでしょう。


 昭和36年、犀星は野間文芸賞受賞の記念に、自分が住んでいる軽井沢に自費で文学碑を建て、碑面にこの詩を刻んだそうです。寒冷地で暮らしているからこそ出来た詩だと感じられます。


 #「詩人の食べもの」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2021-03-21


写文集-我が愛する詩人の伝記 (単行本)

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  • 発売日: 2021/12/09
  • メディア: 単行本

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コメント 2

そらへい

私も高校時代に室生犀星の詩を習った記憶があるのですが
教科書が違うのかこの詩ではなかった気がします。
それにしても、国語の先生に読みの注文を付けるなんて
凄いですね。
by そらへい (2022-02-14 10:44) 

爛漫亭

 そらへいさん、十代のころは何か
尖った気持ちだったですね。若気の
至りです。
by 爛漫亭 (2022-02-14 11:50) 

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