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ブルックナーの世界 [音楽]

 気になりながらそのままになっている事は種々ありますが、一度、ブルックナーの交響曲を第1番から順に第9番まで聴いてみようと、昨年末から取り組んでみました。第4番「ロマンチック」と第7番は、好みの曲なので、長年いろいろな指揮者や楽団の演奏で聴いてきましたが、他の曲にはあまり馴染みがありません。


 ブルックナー(1824-96)は日本でいえば文政7年にオーストリアで生まれています。勝海舟の1歳下で、ブラームスより9歳年上ですが、晩成の人で、教会のオルガン弾きを長年務め、作曲家として活躍したのは明治時代です。


 交響曲第1番、第2番、第6番は今回初めて聴きました。G.ヴァント指揮、ケルン放送交響楽団の演奏でした。20年以上前にいつか聴くだろうと、買っていた CDでした。馴染みがないせいもあり、やっと聴く機会があったという感慨だけでした。



 第3番、第5番は何回か聴いたことがあるのですが、どうも引き込まれる旋律がなく、今回も音が素通りしていくようでした。演奏者を変えてみれば、いつか親しめるようになるのかも知れません。


 第4番「ロマンチック」は高原や森を散策しているような、爽快な曲です。雪を積んだ山岳を眺めている雰囲気を持っています。K.ベームや C.アバドの指揮するウィーン・フィルの演奏が好みです(https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2021-10-11)。


 第7番を初めて聴いたのは 30年以上前で、C.M.ジュリーニ指揮、ウィーン・フィルでした。夏休みなどの長距離ドライブにはよく運転しながら聴きました。何年か前にはベルリン・フィル( S.ラトル指揮)が西宮の会場で第7番を演奏するというので、こんな機会はもう一生ないだろうと出かけました。大きな音だけど、家で聴く E.ヨッフム指揮、ドレスデン・シュターツカペレの方がいいなという感想でした。


 第7番は例えれば、広い夜空を眺め、天空の音を聴いている感じです。親しみやすく、星座を数えるように気分が移ろいます。交響曲で、わたしの最も好きな曲かもしれません。


 第8番、第9番は深遠な雰囲気です。それだけに近寄りがたい空間が広がります。日常的に聴くのは少しためらわれます。例えば第9番、第1楽章は深山幽谷に彷徨い込んでいく感じがします。第2楽章では天女なのか天使なのかが舞っています。第3楽章は果てしない宇宙空間を航行していきます。C.シューリヒト指揮、ウィーン・フィルの演奏は近寄りがたい音の世界を現前させます。


 聴き終わって、ブルックナーという作曲家の歩みがおぼろげにも浮かんでくる気がします。今年はどんな音楽を聴こうか・・・音楽も体験です。ときに衝撃的となります。人との出会いと同じです。音を探し求めるのは、そんな経験を求めて彷徨っているからかも知れません。



 


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そらへい

感受性の衰えとかいろいろあるのでしょうが
どちらかというとあまり真面目に音楽に対峙していないので
なかなか新しい出会いや衝撃的な体験を得る機会がありません。
このごろはジャズを部屋に流しながら、
その雰囲気にやっぱりいいなぁと思っています。
by そらへい (2022-01-15 17:52) 

爛漫亭

 そうですね、そらへいさん、若い頃の体験が
忘れられなくて、引きずっている気がします。
何処かに何かいいものがあるかも知れないと
彷徨っている・・・。
by 爛漫亭 (2022-01-15 20:32) 

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