こころに残る洋楽 [読書]
何か読む本はないかと本箱を眺めていると、村上春樹 和田誠『村上ソングズ』(中央公論新社)が目についたので取り出してみました。村上春樹が好みの洋楽の唄を17曲選び、彼の訳した歌詞と原詞を載せ、それらの唄について2頁ずつのエッセイを書いていました。和田誠は装丁と各曲にイラストを描き、彼も好みの唄を2曲訳し、エッセイを付けていました。2007年刊行ですが、読んだ記憶がなく、買ったままになっていたようです。
好みの唄というのは至って個人的なものですが、育ち暮らした時代の影響も大きいと思われます。村上春樹はわたしと同学年なので、同じ時代を過ごした彼がどんな唄を選んでいるのかと目次を眺めてみました。そこに並んでいるのは、題名は知っているが・・という程度のが8曲ありましたが、見たことも聞いたこともないのが目立ちました。
R.E.M. 「人生のイミテーション」
ロッド・マッケン「ジーン」
ビリー・ブラッグス「イングリッド・バーグマンの歌」
クラレンス・カーター「パッチズ」
といった唄が並んでいます。どんな曲なのか想像もつきません。そんな歌手がいたのかと初めて目にする名前が続きます。Wiki.で調べてみると、ロックの殿堂に入っている歌手だったりします。ちなみにビートルズの曲がないのは、レノン=マッカートニーの楽曲歌詞の翻訳が、管理者によって許可されていないからだそうです。
そういえば、わたしでいえば、大人になってから、洋楽に接する機会が減り、時にジャズ・ボーカルを聴く程度になったので、村上春樹の音楽の守備範囲の広さに驚かされました。
今の時代、彼が取り上げている唄のほとんどは、YouTube で聴くことができます。思い入れを込めたエッセイを読みながら、その唄を YouTube で流してみましたが、ほとんどは、そうなのかな・・・という程度で、ひき込まれるほどの体験とはなりませんでした。しかし、自分が若い頃にこんな唄に出会わなかったのには、なにか寂しい気もしました。
唄は流れていた ”時”、”場所”、”状況”によって、人に取り付いたり、流れ去ったりするものなのでしょう。
和田誠はフランク・シナトラが歌う「バン・バン」と、フレッド・アステアが歌う「誰にも奪えない」を挙げていました。「バン・バン」はわたしにもアン・バートンの歌唱で印象に残っています。
「バン・バン」
私は五歳 彼は六歳
二人は木の枝の馬で遊んだ。
彼は黒い服 私は白い服
彼はいつも勝つ方だった。
バン・バン 彼は私を撃った。
バン・バン 私は地面に倒れた。
バン・バン あのひどい音
バン・バン あの子は私を撃ち倒した。
(後略) (和田誠 訳)
こんな唄だったのかとあらためて聴きなおしました。
では、どんな唄がわたしには沁みついているのか? 十代の頃からの唄の記憶をよび覚ましてみようという思いになりました。
ジャズ喫茶でバイトし、更に開業までしたことは
守備範囲の広さと関係があるんですかね(@_@;)
by middrinn (2021-11-02 19:09)
ある程度の年齢になると、middrinnさん、普通は
音楽と距離ができるものですが、意識的にかかわって
いたのでしょうね。ジャズが仕事なので、自宅では
ロックを聴いていたとか(笑)。
by 爛漫亭 (2021-11-02 19:55)
村上春樹さんの音楽案内はさすが作家と言うべきか
メインストリームを外した紹介が多いですね。
アン・バートンいいですね。
この季節にぴったりです。
by そらへい (2021-11-09 20:27)
あの時代、ジャズ、ポップス、フォーク、
ロック、クラシックなど、そらへいさん、
音楽も元気でしたね。
by 爛漫亭 (2021-11-09 21:03)