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海人の足跡 [読書]

   瀬戸内海の島で育った子供の頃、村の祭りといえば地域ごとに「だんじり」を引き出して八幡神社に集まりました。他の地域はみんな「ふとんだんじり」で、屋根の上に赤い布団のようなものを数段乗せた形でしたが、わたし達の地域のは「船だんじり」で船の形をしていました。神輿を担いで海に入り、祭りの終盤には御旅所という村はずれの場所に集まり、選ばれた子供が「船だんじり」の舞台で三番叟を舞いました。今ではもう廃れてしまったようです。


 「だんじり」と言うのは関西以西だそうで、関東では「だし・山車」とよび、京都の祇園祭では「やまぼこ・山鉾」で、地域によって形も異なっています。


 中沢新一『アースダイバー 神社編』(講談社)を読んでいると、長野県安曇野の穂高神社では夏の大祭礼で、<各地区で大きな船の飾り物をつくり、氏子がそれを引っ張って町の中を練り歩き、最後に穂高神社の本社にいっせいに集合してくる> と記していました。なぜ、あんな山深いところで「船」なのかと思います。


 そもそも安曇野の人たちは、北九州にやって来た海人的倭人、アヅミ族の末裔なのだそうです。「海(アマ)に住む」ひとびとです。紀元前数世紀以前から、半農半漁の技術を携え、沿岸伝いに日本列島に拡がったそうです。アヅミ族の足跡は、安曇、安積、渥美、場合によっては泉、出水、伊豆見といった地名から窺い知れるとのことです。


 博多湾にある志賀島(しかのしま)はアヅミ族の聖地です。そこにある志賀海神社の宮司は古来、安曇家によって世襲されているそうです。


 村の祭礼の中にも人々の辿ってきた歴史が潜んでいると考えれば、何百年と続いてきた祭りがわたし達の世代で途絶えてしまうのは残念なことです。




アースダイバー 神社編

アースダイバー 神社編

  • 出版社: 講談社
  • 発売日: 2021/04/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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middrinn

人が住む以前の話かもしれませんけど、
あの辺りは大昔は海だったとか(@_@;)
by middrinn (2021-08-12 20:18) 

爛漫亭

 佐久のあたりは887年の八ヶ岳の爆発で
川がせき止められ、湖になっていたようです。
海ノ口とか、小海とかと地名に残っています。

by 爛漫亭 (2021-08-12 22:41) 

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