やるせない音楽 [音楽]
「やるせない」という言葉で思い浮かぶのは「待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ」という竹久夢二の詩句ですが、ブラームス(1833-1897)の室内楽を聴くと何か濃密なやるせなさにひたされる気がします。
「チェロ・ソナタ」は2曲ありますが、チェロの深い音色にピアノがからみ、仄暗い情熱が感じられます。晩年の「クラリネット五重奏曲」になると、縹渺としたクラリネットの音に少し諦念の色が混じります。ブラームスには全然タイプが違うベートーヴェンの後継者と目される「つらさ」があったかもしれません。それで「やるせないな」となった訳でもないでしょうが。
ブラームスは 19世紀の人ですが、こういうやるせない音楽は 20世紀になるとアメリカでブルースと呼ばれる唄となり、ジャズやロックに繋がっているようです。ジャズの「ピアノ・トリオ」にはブラームスの室内楽と同質の世界が聴こえることがあります。
19世紀末から 20世紀にかけて、ショスタコーヴィッチやスタン・ゲッツに至る「やるせない音楽」の系譜が辿れるように感じられます。
#「身につまされる演奏」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2018-02-13
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