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母親のセリフ [読書]

 こどもの頃、母親が小学校の懇親会かなにかに出かけて帰ってきて、校長先生が「すまじきものは宮仕え」と言っていたと話していたのを憶えています。はなしの前後は忘れていますので、どんな事情だったのかは不明ですが、そのセリフだけはずっと頭に残っていました。


 最近の文科省や財務省での出来事を見ていると、宮仕えの大変さが想像され、母親の語調まで思いだしました。


 高島俊男『漢字雑談』(講談社現代新書)を読んでいると、昔の中国について、こんな記述がありました。


 <中央集権制だから、県には中央政府の出先機関である役所がある。県を統治しているのは朝廷から派遣された官で、これは通常一つの県に二人か三人、多くて数人である。・・・


 県の役所では常時数百人、あるいはそれ以上の人が仕事をしている。これは「吏」である。吏は、朝廷もしくは官が任用した者ではない。


 吏は皆土地の者で、生涯同じ部署で同じ仕事をする。通常親子代々世襲である。・・・

 

 吏には給料はない。官が任用して役所にいるわけではないのだから当然である。仕事で収入を得ている。・・・


 ・・・たとえば百叩きの刑に処せられたとして、金をうんとはずめば形だけの叩きですむ・・・吏はその仕事で生計を立てているのだからあたりまえである。>


 古い中国の制度ですが、周辺諸国にも影響はあったことでしょう。官と吏と民の関わりには歴史的な根深い要因が潜んでいるものと思われます。 わたしの母親はどんなつもりで子供に「すまじきものは・・・」と言ったのか、知るすべもありません。




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