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かすみとパン [読書]

 窓からの日差しが明るいので、外に出てみましたが、風はまだ冷たいです。本を読んでいると、気象用語では霞という言葉はないそうです。「霧」と、それより薄いのは「もや」ということです。


 ひさかたの天の香具山この夕べ霞たなびく春立つらしも(柿本人麻呂)


 万葉集の歌ですが、人麻呂より千年もあとの松尾芭蕉は


 春なれや名もなき山の朝がすみ


 と詠んでいます。 芭蕉のころには万葉集は、あまり知られていなかったようですが、「天の香具山」と「名もなき山」、「夕べ」と「朝」、いかにも俳諧的な工夫に思えます。なにか二人をつなぐ、本歌取りの歌があったのでしょうか。ただ、「朝がすみ」を「薄霞」とするものもあるようですが・・・。


 はやく暖かくなってほしいと思いながら、寝ころんで本をみています。 かすみを食って生きているわけではありまんが、パンはグルテンのせいか食べられません。たまには美味しいパンも食べたいものです。




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コメント 6

middrinn

山と霞と春(立春)の三つを詠んでいる歌ならば、
人麻呂と芭蕉の間に〝山〟ほどありますよね(^^)
西村亨『王朝びとの四季』から学びました(^_^;)
by middrinn (2018-02-17 19:44) 

爛漫亭

 「かすみ」というのは、やっぱり奈良などの盆地的な景観ですね。瀬戸内海は春も霧ですし、近くの川筋には雲海ができます。
 人麻呂から芭蕉まででも、千年ものあいだ、まほろばとしての盆地を歌い続けてきたことに感嘆します。
by 爛漫亭 (2018-02-17 21:24) 

middrinn

書き忘れましたけど、今回の玉稿は(いや、毎回そうですが、
特に、の意です)知的刺激を受ける小生好みの内容です(^^)
この芭蕉の俳句は和歌の規範・伝統に沿いながらもひっくり
返してて、和歌が好きな小生としては衝撃的な作品です(^^)
コメントも興味深い内容ですが、瀬戸内海の霧ではなく霞を
詠んだ歌としては、新古今集の俊恵法師の「春といへば霞みに
けりな昨日まで波間に見えし淡路島山」を思い出します(^^)
爛漫亭様には教わることばかりですが今後とも宜しくm(__)m
by middrinn (2018-02-17 22:05) 

爛漫亭

 千鳥もチ、チと鳴くのでチドリだそうです。夜もすがら、関守も悩まされて、ねむけまなこで、前の島を見たのでしょうか ? いつもありがとうございます。
by 爛漫亭 (2018-02-17 23:51) 

chonki

私は食べ物のことが気になっています。例の風に吹かれていた干ダコはどうなりましたか。無事にタコ飯になってお腹におさまりましたか?
また教えてください。
by chonki (2018-02-21 09:55) 

爛漫亭

 干しダコはぶら下がっている間に、異様な臭気を発しだし、食べるのに勇気がいるようになりました。せめて足1本でも、焼いてカジッテみようというのですが、家内の賛同が得られません。まだ、ぶらくられています。
by 爛漫亭 (2018-02-21 21:12) 

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