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ひとりし思へば [読書]

 数日来、北陸地方では雪が降り続いているようです。国道 8号線では 1500台もの車が立ち往生したとのことです。 豪雪というのは経験がないので、想像もできません。


 このあいだから読んでいた 藤井一二『大伴家持 波乱にみちた万葉歌人の生涯』(中公新書)によると、家持は天平十八年(746) 、29歳のとき越中国守に任命され、今の富山県高岡市で 5年間を暮らしています。


 天平勝宝五年 (751) 年は正月から雪が多く、積雪は四尺にもおよんだそうです。


  零る雪を 腰になづみて 参り来し 験もあるか 年のはじめに 


また、42歳のとき因幡守として、いまの鳥取市に赴任していた天平宝字三年 (759)には


  新しき 年の始めの 初春の けふ降る雪の いや重け吉事


と詠んでいます。


 官僚として各地を点々としていますが、天平宝字八年 (764)には薩摩守で、中央政府での恵美押勝(藤原仲麻呂)の乱に関わらずにすんでいるようです。


 65歳で陸奥鎮守将軍となり、延暦三年 (784)に東北の多賀城に出向いています。そして翌年、68歳で他界しています。著者は家持は多賀城でなくなったと推測しています。 その年、中納言 藤原種継の暗殺事件があり、関わった人物として大伴家持の名が挙がっているそうです。 家持の子息 大伴永主は隠岐に流罪になっています。


 大納言 大伴旅人の子として生まれ、政争のなか、宮仕えし、歌人として万葉集の編纂にかかわり、多賀城に没した家持の生涯は想像以上に波乱にとんだものだっようです。


  うらうらに 照れる春日に ひばり上がり こころかなしも ひとりし思へば



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