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歴史の教訓 [読書]

 疾病と歴史との関わりでは、昔に読んだルネ・デュボス『健康という幻想』や J.ダイヤモンド『銃・病原菌・鉄』などを思い出しますが、天災と歴史の関係という観点に立った磯田道史『天災から日本史を読みなおす』(中公新書)はおもしろくて為になる読物です。

 1586年1月18日に起きた天正地震によって、長浜城や前線基地の大垣城が被害を受け、豊臣秀吉は坂本の城から大坂へ急遽避難したので、徳川家康は滅亡をまぬがれたとか、1596年9月5日の伏見地震によって伏見城は台所一棟を残して全壊し、秀吉は幼児の秀頼を抱えて裸で逃げて、かろうじて助かったとか。 

 秀吉は地震で崩れた伏見城をもっと豪華に再建せよ、同時に、朝鮮に再度攻め込めと命じ、人望は豊臣から徳川へと移っていったとのことです。

 古文書に記載された天災の記録を丹念に読み、地震、津波、噴火、土砂崩れ、高潮などの被害情況を調べ、今後、起きうる災害への備えに役立つ話しが満載です。少なくとも文書からは数百年の単位で災害を考える視点が得られます。

 疾病や天災を完全にコントロールし得るという思いこみから覚めるのは、こころを軽くするかもしれません。


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