月日の残像 [読書]
瀬戸内海の島といえば木下惠介「二十四の瞳」、新藤兼人「裸の島」、篠田正浩「瀬戸内少年野球団」といった古い映画を思い出します。
木下惠介の助監督をしていたこともある山田太一の『月日の残像』(新潮社)というエッセイ集は楽しく読めました。
山田太一にも、わたしと同じように十二歳年上の兄がいたそうです。大学一年生のころ、地方都市から出張で上京してきた兄と新橋の小さな食堂でビールを飲んだ想い出を書いています。
その日読んだばかりの短篇小説の筋を少し皮肉っぽく、得意になって話す筆者に
「ほうか。みんな、ほうやって、気張って暮らしとるんだな」と兄はまったく予期しなかった感想を言って、別の話しをはじめる。五十八年たっても耳に残る兄の言葉を振り返り、筆者は「底の知れないような気がして来てしまう。」
大学で同級生だった寺山修司のこと、木下惠介のことなど色々な話題がでてきますが、視点が確かで、少しヒヤリとした感触の読後感が残ります。
マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや
(寺山修司)
#「生まれる前のはなし」https://otomoji-14.blog.ss-blog.jp/2014-10-16
木下恵介の誕生日の話など読んでて思わず目をつむりました。そうやね、あなたが好きそうな話がいっぱいですね。
by chonki (2014-10-22 13:51)