白洲正子『かくれ里』のこと [読書]
ふと思い立って、ふらっと出かけるのが好きな人間にとって、白洲正子『かくれ里』は格好の道づれです。関西から越前、美濃あたりまでの地域で「秘境と呼ぶほど人里離れた山奥ではなく、ほんのちょっと街道筋からそれた所」に隠れた歴史や美術をみつけ、考えながら、ほっつき歩くような道中記です。
丹生都比売神社の項には天野の里がでてきます。高野山の町石道の麓の村です。西行の妻と娘のものといわれる宝篋印塔があったり、俊寛の家来・有王の墓などがあって伝説の多いところです。『かくれ里』を教えてくれた叔父を案内したことがあります。子供たちがまだ小さかったころ、何度か散歩に行ったこともありす。
ときどき思い出しては、拾い読みして、ほっつき歩きの楽しみのご相伴にあずかります。本の内容はすぐに忘れてしまいますが、かくれ里を巡り歩く白洲正子の情熱がこころに残ります。
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